Oceanus Online Archive
Seabirds Face Risks from Climate Change
The research expedition ended in near-disaster. Stephanie Jenouvrier, aboard the ship Marion Dufresne II, was heading to the Southern Ocean to study seabirds. On Nov. 14, 2012, while making a…
Read MoreMarine Mammals Meet Modern Medicine
Whales do not make the easiest patients, but CT scans, MRIs, ultrasound, hyperbaric chambers, and other medical tools are making it easier to learn about them.
Read MoreRebuilding Alvin: Carroll & McCartney
From the beginning of 2011 to May 2013, Alvin, the U.S. science community’s only human-occupied submersible dedicated to deep-sea research, underwent a thorough overhaul and upgrade to greatly enhance its…
Read MoreA War of Knowledge to Save Sharks
Derya Akkaynak hails from a town called Urla in Turkey, and like most graduate students who come from foreign lands to study oceanography in Woods Hole, she keeps track of…
Read MoreSwimming with Sharks
Amy Kukulya’s clients often have curious requests, but this was among the oddest. As an engineer at Woods Hole Oceanographic Institution (WHOI), she has operated autonomous underwater vehicles beneath Arctic…
Read MoreRebuilding Alvin: Kurt Uetz
From the beginning of 2011 to May 2013, Alvin, the U.S. science community’s only human-occupied submersible dedicated to deep-sea research, underwent a major upgrade and overhaul to greatly enhance its…
Read MoreCaller IDs for Whales
Imagine extraterrestrials come to Earth, seeking to understand human life. They dangle recording devices beneath the clouds or occasionally tag people with retrievable recorders. They collect thousands of bits of…
Read MoreGo Down Jason, Let My Mooring Go
In 2010, an experiment led by physical oceanographer Ruth Curry put six subsurface moorings on the seafloor to measure deep-sea currents. In 2012, when they went to retrieve the instruments,…
Read MoreRebuilding Alvin: Al Suchy
From the beginning of 2011 to May 2013, Alvin, the U.S. science community’s only human-occupied submersible dedicated to deep-sea research, underwent a thorough overhaul and upgrade to greatly enhance its…
Read MoreRebuilding Alvin: Dutch Wegman
From the beginning of 2011 to May 2013, Alvin, the U.S. science community’s only human-occupied submersible dedicated to deep-sea research, underwent a thorough overhaul and upgrade to greatly enhance its…
Read MoreRebuilding Alvin: Patrick Hennessy
From the beginning of 2011 to May 2013, Alvin, the U.S. science community’s only human-occupied submersible dedicated to deep-sea research, underwent a thorough overhaul and upgrade to greatly enhance its…
Read MoreRebuilding Alvin: Paul Keith
From the beginning of 2011 to May 2013, Alvin, the U.S. science community’s only human-occupied submersible dedicated to deep-sea research, underwent a thorough overhaul and upgrade to greatly enhance its…
Read MoreRebuilding Alvin: Chris Lathan
From the beginning of 2011 to May 2013, Alvin, the U.S. science community’s only human-occupied submersible dedicated to deep-sea research, underwent a thorough overhaul and upgrade to greatly enhance its…
Read MoreThe Scientist and the Poet
Alice Alpert, a graduate student in the MIT/WHOI Joint Program, studies what the chemistry of coral skeletons can tell us about the ocean in the past. Before coming to WHOI,…
Read MoreRebuilding Alvin: Lisa Smith
From the beginning of 2011 to May 2013, Alvin, the U.S. science community’s only human-occupied submersible dedicated to deep-sea research, underwent a thorough overhaul and upgrade to greatly enhance its…
Read MoreRebuilding Alvin: Hugh Popenoe and Rob Lewis
From the beginning of 2011 to May 2013, Alvin, the U.S. science community’s only human-occupied submersible dedicated to deep-sea research, underwent a thorough overhaul and upgrade to greatly enhance its…
Read MoreRebuilding Alvin: Phil Santos
From the beginning of 2011 to May 2013, Alvin, the U.S. science community’s only human-occupied submersible dedicated to deep-sea research, underwent a thorough overhaul and upgrade to greatly enhance its…
Read MoreRebuilding Alvin: Jeff McDonald
Since the beginning of 2011, Alvin, the U.S. science community’s only human-occupied submersible dedicated to deep-sea research, has been undergoing a thorough overhaul and upgrade that will enhance its capabilities.…
Read MoreArt Meets Science in a Book called Bloom
When conditions of light and nutrients align in the surface waters of the ocean, tiny single-celled algae called phytoplankton respond with explosive growth and reproduction in a phenomenon known as…
Read More災害時の コミュニケーション
福島中央テレビ » English version 福島第一原子力発電所の異常が日本中そして世界中に知れ渡ったのは、2011年3月の津波翌日のニュース速報で衝撃的なビデオ映像が流れた瞬間であった。福島中央テレビが捉え、4分後に放送したその映像は、福島原発から吹き上がる濃い白色の雲だった。これは、後に原子炉1号機の爆発によるものと判明する。だがそのときは、ニュースキャスターの緊迫した声で、それは煙のように見えるが、もしかすると水蒸気の可能性もあると伝えたのみであった。この白煙は、海上を北へ運ばれていくように見えた。 その放送責任者であった福島中央テレビの寺島祐二取締役副社長は、2012年11月に東京で開かれた「海洋放射能汚染に関する国際シンポジウム」で当時のひっ迫した状況を述懐した。寺島は、このシンポジウムにおいて災害時・災害後の情報伝達の取り組みについて議論を交わした日米ジャーナリストパネリストの一人である。 寺島は言う。「地元メディアとしての私たちの役割は、主に身近な出来事、特に災害について、ただちに報道することです。ですが、そのときは私たちも何を撮影したのか把握していませんでした。ただ撮影したままを放映するしかありませんでした」。 もう一人のパネリストであるニューヨークタイムズ紙のマーティン・ファクラー東京支局長も、当時は暗中模索であった。「最初の10日間はそんな状態でした」とファクラーは言う。「政府も東京電力株式会社も何も言ってきません。日本の科学コミュニティからも、ほとんど情報は得られませんでした。私たちが何とか状況を把握しようとしている間に、最初の爆発が起こり、続けて第2、第3の爆発が起こりました」。 ファクラーは、日本国外の科学者たちと話して初めてそれが水素爆発であった可能性が高いことを知り、それがおそらく原子炉の部分的なメルトダウンを意味することを知ったという。「ですが、これを記事にしたところ、「メルトダウン」という言葉を使ったとして日本側から非常に強い批判を受けました。それは驚くほどの強い否定でした」。 福島中央テレビのカメラだけが停電を免れ、爆発の様子を捉えた。そして、その映像は福島中央テレビの放送ネットワークだけに流された。日本政府がすでに原子力緊急事態宣言を発令していたこともあり、混迷と恐怖が広がった。 寺島は言う。「私たちが爆発の様子を放送したことを勇気ある決断だったと言ってくださる方々がいます。私個人の信条ですが、パニックを起こすからといって、このような重大情報の開示をためらい、またそれを正当化することは無責任だと思います」。 このとき多くの日本人がYouTubeにアクセスした。YouTubeには、海外で放送されたニュース番組から取った爆発の動画が多数アップロードされ、さらに効果音が加えられたものまであった。 「この放送の結果、社会は災害の本当の重大さに気づき、大勢の方が避難を決意したのです」と寺島は述べる。そして、当局への疑惑と不信が広がり始めた。 混乱の日々 ネイチャー誌でこの危機を報道したジェフ・ブラムフィール記者は、これとはやや異なる視点を同シンポジウムの参加者に提示した。「私はロンドンにいましたが、あれだけの情報があれだけ迅速に得られたことに驚いていました。東京電力株式会社は、計測されてすぐの放射線量値を事故から24時間以内に提供していましたし、原子炉の状況もリアルタイムで更新していました」。 本当の問題は、情報の欠如ではなく、コミュニケーションの欠如ではなかったか、とブラムフィールは示唆する。両者の違いは、災害の次の段階で明確になっていった。ファクラーは言う。正式な発表がほとんどないまま10日ほど過ぎた頃、「大量の情報が一度に開示されました。政府批判が高まったためだろうと思います。膨大なデータが何の説明もなく次々と公表されました」。 その時点で、健康物理学に詳しい記者がほとんどいないため、メディアは実際のリスクを理解することが非常に難しくなった、とブラムフィールは言う。一方、政府は、測定値に対する恐怖を和らげるため、線量が規定の安全レベルをはるかに超えているにもかかわらず、「大丈夫だ。リスクはない」と言い続けた。 寺島にとっては、パニックを防ごうと政府当局がむなしい試みを重ねていること自体が、恐怖で正常な判断力を失った状態に思えた。実際、このいわゆる「エリートパニック」が、後に広く報道されたSPEEDI(緊急時環境線量情報予測システム)に関する問題を助長した可能性が高い。この高精度コンピュータ予測システムは福島災害のほぼ直後に大気中の放射性物質の拡散予測を開始したが、その情報の初公開は2週間近くも延期された。避難住民は、SPEEDIを含め、どこからも指針が得られず、一部には難を逃れるどころか放射性物質の降下した高濃度汚染地域へ避難してしまった人々もいた。 ファクラーは、ニューヨークタイムズ紙に掲載した記事で、「日本の政治家たちは、当初SPEEDIのシステムについて知らず、その後は、そのデータを過小評価した。避難指示区域を大幅に拡大する必要性が事故の重大性を認めることになるのを恐れたのであろう」と書いた。動機が何であれ、データを伏せれば無防備な市民を危険に陥れる、と評論家は言う。そして、結果的に社会的信用はいっそう低下した。 致命的な決断はほかにもあった。ブラムフィールは、災害後、被災したいくつかの県が地元の米と魚を食べても安全であると宣言したものの、後日それらの食材に汚染が見つかるなど、判断を急ぎすぎた例を指摘した。それよりダメージが大きかったのは、政府が何の説明もなく一見恣意的に学童の安全な被ばくレベルを年間1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに引き上げたことである。 このような当局の失策は、低レベル放射線の影響が依然不明確であることとあいまって日本の社会に不満と怒りを生じさせたが、それは政府に向けられただけでなく、公の場での発言に消極的な日本の科学者たちにも向けられた。 便りが「ある」のはよい便り メディアも無傷ではいられなかった。パネリストの一人、共同通信社の太田昌克編集委員は、初期に多くのメディア同業者に問題があったことを認めた。それには、大規模災害を取材する準備態勢の欠如、追い詰められた政府を批判したがらない消極的な姿勢、そして必要な専門知識不足から当局発表どおりの報道をする傾向などが含まれる。 必要情報が欠如していた結果、不安を抱えた市民は他の情報源を求め、多くが外国のウェブサイトやニュースサービスを探した。中にはボランティアとして被災地に踏み込んで自ら情報を得ようとする者もいた。 三重大学生物資源学部の勝川俊雄准教授は水産業管理の専門家であり、2011年3月以降の大半を、津波で破壊された村のうち何か所かにおいての 漁業者支援に費やしてきた。しかし、自ら子どもに何を食べさせるべきか悩む親の一人でもある勝川は、放射線が健康に及ぼす影響について独学で学び始め、不安を抱える他の保護者と話し合って、食の安全情報をインターネットで共有することにした。自身のブログとTwitterフィードが多くの人に読まれるようになった結果、彼は消費者団体向けの講演や女性雑誌への寄稿を依頼され、テレビにも出演するようになった。 東京で開かれた「海洋放射能汚染に関する国際シンポジウム」で勝川は言った。「日本の科学者は、不確かな情報を発表することにためらいを感じます。しかし、あの災害の後では、ほぼすべてのことが不確かでした」。最初の2日間で放射性ヨウ素の大半が大気中に放出されたことを考えると、「不確かさが解消されるまで待つ余裕はありませんでした」。 勝川自身が情報を伝える中で学んだのは、大半の人々は完全な情報を要求しているわけではなかったことだという。「慎重な説明がなされていれば、不確かな情報でもよかったのです。人々はそのときわかっていることを知りたがっていたのです」。 残念なことに、情報を伏せて被ばくリスクを過小評価する傾向は、災害後の日本全土に長期的な悪影響を及ぼした、と勝川らは報告する。福島から幅広い報道を行ったニュークリアインテリジェンスウィークリー誌のミゲル・クインタナ特派員は、同シンポジウムで語った。「社会の認識と科学的情報には大きな隔たりがあります。私が話を伺った多くの方々は、公表された情報をまったく信じていません」。 ニューヨークタイムズ紙のファクラーは、これに同意して次のように述べた。「非常に大きな問題がいくつも未解決のままです。まず社会的合意が得られていません。日本の友人たちは太平洋産の海産物を買いません。それは放射能測定値と消費者を安心させようとする言葉を信用していないためです。彼らは、消費者より生産者を優先する官僚体制が、食の安全レベルについて常に消費者をだましてきたと考えています」。…
Read MoreCommunication in the Fukushima Crisis
For most of Japan and the rest of the world, the first clear sign of trouble at the Fukushima Dai-ichi nuclear power plant was a breaking news video aired the…
Read MoreRadiation Health Risks
The ability to gauge radiation at vanishingly low concentrations gives scientists a powerful tool for understanding ocean processes. “We can measure down to less than 1 becquerel”—one radioactive decay event…
Read More健康上のリスク
» English version 微量の放射線量を計測できる機器は、科学者が海洋過程を理解する際、強力なツールとなる。「現時点では1ベクレル未満まで測定できます」と、ウッズホール海洋研究所のシニアサイエンティストである海洋化学者ケン・ベッセラー博士は言う。 1ベクレルとは、放射性崩壊イベントが1秒あたり1回起こることを意味する。「ただし、測定できる放射能がすべて人の健康に有害だとは限りません」。 では、どの被ばくレベルから人に有害になるのか。また、福島原発事故で生じた放射能は、人の健康にどのような影響を及ぼす可能性があるのだろうか。 ベッセラーら科学者たちは、2011年6月に日本沖で航海中、津波で多数生じた瓦礫が海に漂っているのを見つけるたびに放射能レベルを測定し、その後も悪影響を及ぼすおそれがないか監視してきた。そのときの海水試料を後日研究室で調べたところ、沖合での放射性同位体セシウム137レベルは米国の飲用水許容レベルより低かったが、福島原発事故以前と比べると千倍以上高かったことがわかった。福島由来の放射能は、やがて太平洋全域に現れるであろうが、現れてもこの「微量」レベルどまりとなり、人の健康に直接影響を及ぼすことはないであろう。 しかし、日本人の食事に多く含まれる魚と海藻に最終的に蓄積される福島由来の放射性物質については懸念の声が高い。「これは放射性物質が蓄積したものを食べることによる体内被ばくの問題で、体外からの被ばくとはまた別の問題です」。2012年11月に東京で開かれた「海洋放射能汚染に関する国際シンポジウム」でベッセラーは言った。汚染海域で獲れた魚からは、災害前より高レベルのセシウムが今も検出され続けており、その理由はわかっていない。また、福島原発付近では、セシウム値が異常に高い魚も時折見つかっている。この2つの事実は、今後さらに調査が必要であり、福島沿海の魚がまだ安全に食べられると言えないことを示している。これらの海域は、現在も漁場が閉鎖されたままである。 それにもまして懸念されるのが陸上の放射能である。ベッセラーによると、「海と違って、陸上では一度降下した放射性物質がそのまま居座り、土壌と植物に取り込まれます。その場合、放射性物質は長期的な放射線源となり、人はより高レベルの放射能を直接受けることになります。海中では放射性物質が薄まるため、そのようなことにはなりません」。 偶然の風 さいわい事故発生時に吹いていた風のおかげで、福島第一原子力発電所から放出された放射性同位体の80%は海に落ちた。その幸運と被災区域からの避難が功を奏し、住民の急性被ばくは限られたレベルにとどまった。ただし、メルトダウンから数日後には風雨の向きが変わり、陸上にも放射性降下物のホットスポットがところどころ生じてしまった。 被ばく量が最も高かったのは、当然ではあるが原発内で作業にあたった人員であった。原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)によると、災害の拡大を防ぐため救急隊が駆けつけた混乱ピークの数日間で、それら167人の作業員は100ミリシーベルトを超える放射線を浴びた。100ミリシーベルトとは、がん発症リスクが有意に増大すると専門家が実証したレベルである。それより低線量の被ばくリスクも議論されているが、そのリスクはより小さく、検出も難しい。 東京電力株式会社の他の作業員2万人と、放射性物質が降下した地域の住民およそ15万人の被ばく量は、それより低かった。世界保健機関(WHO)によれば、それら住民の大半は2~10ミリシーベルトの線量を受けた。避難が遅れた福島県双葉郡浪江町と同相馬郡飯舘村の住民は、10~50ミリシーベルトを被ばくした。懸念される例外として、浪江町からの避難経路のひとつで1歳児の放射性ヨウ素131被ばく線量が最高100~200ミリシーベルトと推計されたことが複数のメディアで報告されている(環境省委託チーム調べ。24時間屋外にいたと仮定した場合)。 ヨウ素131は半減期が約8日と短命で、福島由来の放射能として最も深刻な健康被害をもたらすおそれがある。米国ローレンスリバモア国立研究所のジェームズ・スワード医学ディレク ターが同シンポジウムで説明したように、放射性同位体は、人体への取り込まれ方も標的となる器官も多種多様である。ヨウ素は甲状腺に集まり、線量がある程度高まると、特に子どもの甲状腺がんリスクを増大させる。 甲状腺がんは、チェルノブイリ原発事故が人体に及ぼした唯一最大の影響であり、UNSCEARの報告によると2005年までに6,000件もの症例が認められている。さいわい、このがんは通常治療可能で、致死率も低い。 チェルノブイリでの平均的な被ばく線量は、福島の場合よりはるかに高かったとスワードは急いで付け加えた。岩手県とその近隣県で政府が1,080人の子どもから収集したデータによると、35ミリシーベルトを超える線量を甲状腺に受けた子どもはいなかった。「たしかに、この母集団では子どもの甲状腺がんリスクが若干ありますが、そのリスクは全体として非常に低く、疫学的技術では測定が困難です」とスワードは言う。 低線量に関する問題 もうひとつの悩みの種は、セシウム放射性同位体への長期的被ばくである。東京慈恵会医科大学の小児腫瘍専門医である浦島充佳助教授が、福島市に隣接する福島県伊達郡桑折町で妊婦と子どもの検査を行ったところ、被験者100人に1人の割合で世界の平均バックグラウンドレベルより高い線量を受けていたことがわかった。低レベルで被ばくした場合の影響がよくわかっていないことが少なくとも一因となり、人々は今も強い不安を抱いている。 職業病医学の臨床医であり急性放射能中毒の治療経験もあるスワードは、低線量被ばく問題として知られている問題に取り組んでおり、その基礎的な情報を紹介した。 スワードによると、世界の人々は絶えず微量の放射線にさらされているが、線量が低いため健康上の悪影響はないと考えられている。このバックグラウンド放射線による被ばく量は年間平均3ミリシーベルトで、自然および人工の放射線源から来るものである。自然に存在する放射線源としては、宇宙輻射(例えば、太陽系外から来る高エネルギー粒子)および岩石から放出されるラドンなどがある。人工の放射線源としては、医療用X線やCTスキャン装置などがあり、飛行機で移動するだけでも、高空では宇宙輻射から人体を守る空気が希薄であるため、地上より高い放射線を浴びることになる。同じ理由から、高地で暮らす人々の被ばく線量は高く、最高で10ミリシーベルトにもなる。 放射性物質は、体内・体外経路で人体に取り込まれる。X線のように体を透過するものもあり、また空気から吸い込まれ、皮膚から吸収され、飲食物から摂取されるものもある。不安定な放射性同位体は、体内の細胞に入るとDNAその他の細胞分子と衝突して直接DNAを損傷し、あるいは反応性の高い分子であるフリー ラジカルを生じて間接的にDNAを損傷する。 線量が限られている限り身体はその損傷を自己修復できるが、線量が身体の修復機能を上回ると、2種類の影響が生じる。その一方は「確定的」影響と呼ばれ、高線量を被ばくしたすべての人に生じる。その場合、皮膚には熱傷、眼には白内障が起こり、妊婦には胎児の発育障害といった健康上の問題が生じる。ありがたいことに「このタイプの影響は福島周辺では顕著な問題になっておらず、より高い線量を浴びた原発作業員でも、この問題は見られていないようです」とスワードは言う。 ランダムな影響 他方の影響は確率的またはランダムな影響と呼ばれ、その最も深刻なものががんである。人への確率的影響に関する知見の多くは、原子爆弾が投下された広島と長崎の被爆生存者を長期的に調査して得られたものだとスワードは言う。これらの調査によれば、100ミリシーベルトの線量を超えると、がんの重度ではなく発症リスクが被ばく線量に比例して直線的に増大する。 100ミリシーベルトでのがん発症リスク増加はわずかで、ほぼ0.5%であるとスワードは述べる。日本人の場合、平均的な男性が一生の間に何らかの原因で致死性がんを発症する確率は26%で、平均的な女性ではそれが16%であると彼は説明する。放射線被ばく量がさらに100ミリシーベルト加わると、そのリスクはそれぞれ約26.5%および約16.5%に上昇し、子どものときに被ばくすると、その数値はわずかに高まる。 ただし、被ばくレベルが100ミリシーベルトを下回ると、がん発症率は非常に不明瞭になる。「線量に関係した影響を示す証拠はわずかしかありません」とスワードは言う。そのため、例えば発電所の作業員や放射線技師に対して定められた低線量の被ばく安全基準は、高線量とその影響の関係を単純に低線量まで延長した「直線しきい値なしモデル」と呼ばれる仮説に基づいている。本質的にいうと、このモデルでは、いかなる線量の放射線も発がんリスクを増大させると保守的に考えており、リスクの生じる最小値であるしきい値はない。 問題は、この仮説の妥当性について科学者間でも意見が一致しないことである。何らかのしきい値より低い線量を浴びても害はないとする意見もあり、DNA修復に有益な作用をもたらすという主張さえある(この考えは、ホルミシスとして知られている)。また、低線量被ばくリスクが現行の予測レベルより高いという意見もある。…
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